『リブート』は鈴木亮平の「身体」で語るドラマだった。日曜劇場がまた一段上に行った

ドラマ・TV感想

鈴木亮平が走っている。息が上がり、汗が滴り、足が重くなっている。でも止まらない。日曜劇場『リブート』の第8話を観たとき、このドラマが「身体」の話であることに改めて気づいた。

The Pop Score

Rating based on impact and craft.

8.7

脚本・黒岩勉が描く「やり直し」の本質

これは黒岩勉のオリジナル脚本だ。過去の失敗を抱えた男が、もう一度やり直す。あらすじだけ聞くとありがちな再生ドラマに聞こえるかもしれない。でもこの脚本が優れているのは、「やり直し」を美談にしないところだ。主人公は過去のツケを払い続けている。やり直すことは、過去を帳消しにすることではない。過去の重さを背負ったまま、それでも前に進むということだ。

鈴木亮平はこの「重さ」を全身で表現している。背中の丸め方、振り下ろした拳、角度。台詞で語る前に身体が語っている。『変態仮面』で筋肉を晒し、『孤狼の血 LEVEL2』で狂気を握い、大河ドラマ『西郷どん』で150キロ近くまで増量した人だ。この人の身体は演技の道具であると同時に、物語そのものになる。

戸田恵梨香と永瀬廉の存在が、ドラマの奥行きを作っている

一香の正体が第8話で明かされた。SNSが騒然としたらしいが、その反応もわかる。伏線の回収が見事で、彼女のこれまでの言動の全体に別の意味が生まれる。戸田恵梨香はこういう「最初は優しく見えて、実は別の顔がある」役をやらせたら無敵だ。目の奥に何か隠している感じが、画面越しにも伝わってくる。

永瀬廉の芝居が回を追うごとに良くなっているのも書いておきたい。序盤はアイドルの延長線上に見えた瞬間もあったが、中盤以降は完全にドラマの住人になっている。特に鈴木亮平との対峙シーンでの目の据わり方が、数話前とは明らかに違う。

日曜劇場という枠の力

TBSの日曜劇場は、ここ数年で明確に「社会派エンタメ」の王道を確立した。『VIVANT』『アンチヒーロー』、そして今作『リブート』。視聴率だけでなく、作品としての質で勝負する枠になっている。『リブート』が他のドラマと違うのは、派手な事件や謎解きに頼らず、人間の「再起」という地味なテーマで視聴者を引きつけていることだ。毎話の終わりに、主人公が少しだけ前に進んでいる。その「少し」の積み重ねが、8話かけて大きなうねりになっている。最終話がどこに着地するか、楽しみでしかない。

体感点数:85点

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