「進撃の巨人 Season3 Part.2」を観た。正確には、観てしまった、という表現の方が近い。気がついたら朝になっていたし、最終話を見終わったあと、しばらく何もできなかった。こんな状態になったアニメは、久しぶりだった。
壁の外には「答え」があったシガンシナ決戦の圧倒性
物語はエレンたちが故郷シガンシナ区を奪還しようとするところから始まる。壁を取り戻し、地下室の秘密を解き明かす。目的自体はシンプルだ。でも、この「シンプルな目的」に辿り着くまでにどれだけの血が流れるのか、第一話が終わる頃にはもう予感がして、胸の奥がざわついていた。
The Pop Score
Rating based on impact and craft.
獣の巨人のあの投擲シーン、あれを観たとき、声が出なかった。画面の向こうで石つぶてのように兵士たちが散っていく。一人ひとりに名前があったはずで、物語があったはずで、それが一瞬で消える。演出が悲壮感を煽るとか、そういう話ではなく、ただ「こんなことが起きているのか」という感覚でぼうっとしてしまった。アルミンが涙をこらえながら指揮を続けるシーンの背後で、エルヴィン・スミスが何かを叫びながら突撃していく。恥ずかしいけど、泣いていた。声を上げて、ではなく、気づいたら頬が濡れていた、という感じの泣き方で。
「正しい選択」なんてどこにもなかったアルミンかエルヴィンか
ただ、没入しながら同時に、冷静なもうひとりの自分が「この展開、ずるくないか」と言い始めるのが私の悪いクセでもある。アルミンかエルヴィンか、どちらを生かすかという選択。あのシーンは、感情的にはものすごく揺さぶられた。揺さぶられたんだけど、少し落ち着いてから考えると、「どちらを選んでも視聴者が傷つく構造」をかなり意図的に設計されている、と感じた。ご都合主義ではないし、むしろ脚本の精度は高い。高いのだけど、あまりにも「泣かせにきている」設計が透けて見える瞬間があって、そこだけが少し引っかかりとして残った。
とはいえ、それが作品全体の評価を下げるかというと全然そんなことはなくて、むしろこれだけ感情を動かされながら「演出の意図」を考えてしまっている自分を、私はちょっとかわいそうだと思う。素直に泣いていればいいのに。
地下室の「答え」が問いを増やしたこれは何の物語だったのか
地下室に辿り着いたとき、私は「やっと」と思った。何年も、何シーズンも引っ張り続けた謎がついに開かれる。でもその「答え」は、答えであると同時に、物語の性質をまるごと塗り替えてしまうものだった。壁の中は世界の全てではなかった。そしてエレンたちは「守られていた存在」ではなく、ある意味で「隔離されていた存在」だったかもしれない。
ここで私が止まらなくなるのは、「なぜ人間は壁を作るのか」という問いだ。壁の外を知らなければ、壁の中で戦い続けられる。知ってしまったら、戦いの意味が変わる。これは進撃の物語だけの話じゃないし、フィクションの話だけでもない。知らないことで保たれている「戦う理由」が、知った瞬間に崩れていく感覚は、現実にも普通にある。エレンが地下室で父の日記を読む表情に、私はそういう普遍的な恐怖を見た気がした。
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人類は何と戦っていたのかこの作品が残した問い
Season3 Part.2は、ある意味でひとつの「完成」だと思う。積み上げてきた謎への答えが出て、犠牲の意味が語られて、エレンたちが「先へ」向かう準備が整う。Wit Studioの映像は、特にシガンシナ決戦において本当に力を尽くしていて、あの雄大さと絶望感が同居する画面には、アニメーションの底力を見せつけられた。
でもこの作品が本当に怖いのは、敵が「巨人」ではなくなっていくことだと思う。壁の外を知って以降、エレンの目つきが変わっていく。あの変化を「成長」と呼ぶには、何かが欠けている。「覚悟」と呼ぶには、何かが暗すぎる。彼が何者になっていくのかを、この時点で静かに予告している。その余韻が、観終わったあともずっと続いていた。
完璧な作品かと聞かれたら、一か所だけ「惜しい」と言いたい部分はある。でも、こんなに長く引きずった作品は、そう多くない。それだけで十分、何かが刺さったということだと思っている。
続きが気になる方はBlu-rayや配信でまとめて観るのがおすすめで、この密度はなるべく途切れさせずに観た方がいい。
体感点数:91点
作品情報:The Movie Database (TMDb)


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