ドラマ・TV感想

静けさの裏側にある嘘 Huluドラマ「パラダイス」が問いかける”完璧な社会”の代償

「パラダイス」を観始めたのは、何気ない深夜だった。タイトルから漂う皮肉な匂いに引っかかって、とりあえず一話だけのつもりだったのに、気づいたら夜が明けていた。そういう作品だった。 --- 楽園に亀裂が入る瞬間 舞台は、世界有数の著名...
映画レビュー

PTAが描く「弱い父親」の話。『ワン・バトル・アフター・アナザー』が刺さりすぎて困っている

『ワン・バトル・アフター・アナザー』を観た翌朝、私はしばらくベッドから出られなかった。別に落ち込んでいたわけじゃない。ただ、頭の中でボブという男のことをずっと考えていた。彼のくたびれた背中のことを。 「頼りない男」を主人公に据えること...
映画レビュー

完璧な犯罪者が「人を信じた」瞬間に崩れていく。『クライム101』レビュー

『クライム101』を観た。観終わったあと、しばらくソファから動けなかった。 --- ハイウェイ101号線の向こう側に見えるもの 正直に言うと、序盤はかなり楽しかった。クリス・ヘムズワース演じるデーヴィスが、4年間にわたって完璧な強...
漫画感想

傷だらけで前へ進む意味を問い続ける 『ベルセルク』という名の呪い

『ベルセルク』を読み終えた、とは言えない。三浦建太郎先生が2021年に亡くなり、物語は未完のまま止まっている。だから正確には「読んでいる途中で止まっている」という状態なのだが、それでも書かずにいられなくなった。読み始めてから頭の中がずっと、...
アニメ感想

地下室への道は、あまりにも遠かった――「進撃の巨人 Season3 Part.2」を観て、しばらく立ち直れなかった話

「進撃の巨人 Season3 Part.2」を観た。正確には、観てしまった、という表現の方が近い。気がついたら朝になっていたし、最終話を見終わったあと、しばらく何もできなかった。こんな状態になったアニメは、久しぶりだった。 壁の外には「答...
ドラマ・TV感想

夜が隠しているものを、私たちは見ようとしているか 『Esa noche』を観て、ざわついたまま眠れなかった話

スペイン語で「あの夜」を意味するタイトルを持つドラマ『Esa noche』を観た。2026年3月に公開されたばかりの作品で、まだ評価の蓄積も少ない。だからこそ、先入観なしに画面に向き合えた。観終わったいま、なんとも言えない感触が手の中に残っ...
映画レビュー

宇宙まで広がったマリオワールド 「ザ・スーパーマリオギャラクシー・ムービー」を観て、私が考えてしまったこと

--- 「ザ・スーパーマリオギャラクシー・ムービー」を観た。2026年4月1日公開、前作「ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー」で世界興行収入13億ドルを叩き出したコンビ、マイケル・ジェレニックとアーロン・ホーバスが再びメガホンを取...
映画レビュー

愛という名の呪い――エメラルド・フェネル版『嵐が丘』が描く、救いのない執着の果て

エメラルド・フェネル監督の『嵐が丘』を観た。観終わって、しばらく部屋の電気をつけられなかった。暗いままソファに沈んで、ヒースクリフとキャサリンのことを考えていた。正確には「考えていた」というより、頭のなかにあの荒野の風景と、ジェイコブ・エロ...
アニメ感想

時間を巻き戻すたびに、何かが壊れていく 『STEINS;GATE』という体験について

『STEINS;GATE』を観終わった。正確には、最終話を観てからもう三日経つのに、まだ頭の中にオカリンがいる。こういう作品のことを「刺さった」と表現するのが正しいのかよくわからないけど、刺さったという言葉以外に思い当たらない。 「こ...
ドラマ・TV感想

笑いの裏に何かがある スティーヴ・カレルの新作ドラマ「Rooster」が静かに刺さった話

「Rooster」を観た。正直、観る前はそこまで期待していなかった。スティーヴ・カレルのコメディときいて、「ああ、笑えるやつね」くらいの気持ちでいた。ところが観終わってから数時間、なんとなくその余韻が抜けない。これは一体なんだろう、と思って...
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